そろそろ松の剪定に取り掛かる時期になりました。庭木としての松を形創るにはそれはそれは長い年月が掛かる訳でありまして、庭木として仕上がったものを庭に入れても3年手入れを入れずに放置すれば、中の枝が枯れ込んで形が崩れます。お客様がご自身で剪定をされていたとしても、よほどしっかりと研究をして心得のある方でないと切ってはいけない枝などを切ってしまい、形が崩れていきます。当方にご依頼のあるケースでは大概がこの形が崩れてしまった松に手を入れていくケースになります。いわゆる松の作り直しという作業になります。
この場合、まず枯れ込んだ枝を除去し、長く伸びすぎたり交差している枝などを落として、1年目はごっそり透かして骨格を取り直す操作をします。次の年に新芽の吹き具合を確認して、通常の(型どおりの)剪定を施し翌年を待ちます。3年目にもう一度型どおりの剪定を行うことで、ようやく基本の枝振りの骨格を取り戻します。あとは、通年、その松個体の芽吹きの個性やクセを見ぬいて、その松の性格に合わせた剪定方法に微調整をしていきます。
この回復操作のなかで、年を重ねるごとに芽の数が増えて、空間も密になってきて剪定作業に時間がかかるようになるのですが、このあたりが自分の能力とどれ位時間を掛けてもいいか?(料金に反映します。)と全体の形づくりとの妥協点を探し求める操作となります。他の庭師の人のコメントでも同じような悩みを抱えている投稿がありましたが、数年かけて方向性を見極める大事な操作となります。それでも、1年経った松に会うのは楽しみなことの一つであります。