ハウスメーカーが提供する得意分野はやはり家であって、実際の所ハウスメーカーの営業の人や設計の人も実は植栽設計についてはほとんど素人と言ってもいいのが現状です。注文住宅などの場合完成予想図にどうしても植栽や外溝も含めたパース図の方が見栄えがいいためにどうしても外観図を重視した植栽の描きこみがなされます。この時、実はその植栽がどのような特性をもっていたり、維持管理していく為には何が必要かということは残念ながら説明されることがありません。(そもそも考慮されていない場合もあります。)このことが、15年先・20年先になって正しい管理がされないままに時を経ていると様々な問題を発生します。
例えば・・・
◆「シマトネリコ」が大きくなりすぎて(大きくしすぎて)しまった。
◆ケヤキが植えられている。
ケヤキは自然樹形も逆さ箒型で美しいのですが、広い範囲を占有しますし落ち葉が風に舞いやすく隣の家の人の屋根を越したり雨樋に落ちて詰まりの原因になります。街路樹や公園でこそその本来の美しさを楽しむことが出来る木です。家庭では近隣に迷惑がかからない大きな屋敷のお宅でないと結局無理して小さな形にとどめる為の剪定を繰り返すことになります。
◆植えられている位置が悪い。
将来的にその木がどのような成長をして、どのように枝を広げるかの想像が基本的に欠けている。その為、壁よりに植えられすぎていたり、植栽土が狭すぎる箇所にコニファーなどが植えられていたりする。コニファーは6~7mにまで知らずに成長させてしまうと、植栽土周りを囲っていたレンガを割ったり、台風の時に傾いてしまったりすることが多く発生します。
◆植栽を楽しむ選択になっていない。
外観図重視で樹種を選んでいる為にまず花が付く木を狙って選択されていることがない。そして、基本的に外溝の塀よりも高く突き出ている絵を描いている為に成長が早く大きくなる木が植えられている。これは基本的に後に管理が大変になる要素を含んでいます。植栽は大小・常緑落葉・花のつくものなどを織り交ぜて全体で楽しむ構想にするのが理想的です。
他、細かいことをあげればまだまだありますが、これくらいにして私共のように後の植栽管理を行うものとしてはもう少し、初期の植栽設計の時にきちんと後々庭をどうしていくかの構想をしっかりとした設計をして欲しいと思うことが多々あります。注文を受けたエクステリア業者も植栽に関しては我々庭屋に任せてもらえればと思うのですが、予算的に難しいのかもしれませんね。逆に施主の方は外溝発注する時に植栽抜きで注文をしていただき、植栽設計については直接我々庭屋に任せていただいた方が間違いないといつも思うのであります。