困ったお客様

9月も中盤を過ぎますと、庭師は急激に忙しくなります。やはりみなさん、夏を過ぎて伸び放題伸びたカシの木や、これから落ちる葉っぱを気にしたりしだして、もう今なら切っても伸びることはないだろうという判断なのでしょう。きっと・・・

依頼は集中するのですが、毎年定期的に剪定に伺っているお客さまを優先して予定が組んでありますので、電話をしそびれたり、うっかりしていたお客様宅はうかがえなくて、一年剪定を飛ばしたりということがどうしても発生します。そうしますと、そのようなお客様は急遽シルバー人材センター等をあたって剪定を依頼される訳ですが、結局そちらも間に合わなかったり、仕事の具合が満足いかなかったりして、時季外れの時に電話が掛かってきたりします。

本日のお客様も、4年程縁遠くなってしまっていたお客様ですが、この度どうも依頼している業者(シルバー?)の仕事ぶりが気に入らなかったらしく、結局私の所に依頼が戻ってきました。こちらとしては、覚えていてくださってありがたいことですが、実際の所は依頼を掛けていた業者が空返事で「行きます」と言っておきながらすっぽかしたりしていたりして、どうにも業を煮やされていたようでした。

こちらとしましては、せっかく再度依頼をいただいたのですから、しっかりと誠心誠意技術を駆使して剪定をしたつもりでしたが、ご主人は「もっと切ってくれないかなあ」と・・・。これ以上切ったらおかしくなりますと説明をして、なんとかとりとめていただきましたが、内心『前任の業者にも自分の思い込みで注文を付けて困らせていたのでは』と思いました。私としては『庭師にお願いしておいて、丸坊主に近い切り方を要求するなんて、パガニーニを読んでチューリップを弾いてと要求しているようでもったいなあ、それならシルバー人材センターさんにお願いして欲しいなあ』と思った次第です。こちらもプロとして剪定している以上、いくらお客様の要求といえども、わざわざ植栽の形をくちゃくちゃに崩していくことになる剪定を承諾する訳にはいきません。お客様いわく、「それでいい」とおっしゃるのですが、「なんだかなあ」という思いがぬぐえません。今回は私の主張を通し、「これ以上きれません」ということを承諾いただきました。(ご不満そうでしたけど・・・)