お庭は一度作ってしまいますと、なかなか作り替えるのは大変な労力を要するものです。
それでも、植えた時は小さかった木も大きくなり、屋敷の塀を超えて外に枝を張り出したりするなどしたり、隣同士の枝が交差するようになったりするなどして、少しだけでも木々の位置を移動したい場合などはあります。
そうした時に、木を動かす為にはそれに先立ち据えられている景石などを動かして空間を創ってあげないと動かしようがない場合などがほとんどです。これは、もともと景石や木々を空きがないように配置して庭を形作っている為にどうしても一部だけをさわろうとしても、引きつれて関連する場所に配置されているものも動かす必要にせまられるということです。今回、懇意にさせていただいているお客様で町内の方より車道側に出ている枝について何かしら言われたようで、少し木を内側にずらしたいというご要望がありました。折しも枝が擁壁を押しており確かに少し擁壁より少し離した方が今後のことも考えるといいと思われます。しかし、その木の内側には大きな景石が据えられており、今回木をずらす為にはその景石もずらす必要が出てきました。この景石をずらすというのが単純そうで結構難儀なことなのです。1tを超える石を吊って横に動かすのも大変ですが、その石が移動する場所に新たに空間を作る(穴を掘る)のもまた結構大変な作業となります。初回に庭を造る時は通常石を据えてその後に土を入れ込んで固定しますので、何も無い箇所に石を据えるのは比較的作業の自由度があります。移動となりますと沈んでいる石を掘り上げてさらに移動させて(その移動させる先には据える為の穴を掘り)思い通りの向きに据えなおすというのは、なかなか骨が折れます。今回、その為の石の埋まりの深さを確認して次回移設の計画を立てました。現代はクレーンがありますのでなんとかなりますが、古くは大又を組んでチェーンブロックで引き揚げてコロで横に移動させてと、それはそれは大変な作業でした。次回工事が無事にいくことを願っています。