根上り松の移植

お客様宅の五葉松が原因不明で枯れ込んでしまった為に、そのお客様が私が入る前の庭師さんに預けていた「根上がり松」を枯れてしまった五葉松の代わりに戻すことになりました。ここで、「根上がり松」をご存じない人の為に簡単に説明しますと、生育過程で根の周りを特別に覆って堆く高く土を盛っておいて、根が下に張るにしたがってすこしずつ盛土を解いて根元を露わにし、まるで根が木を持ち上げているように仕立て上げられた松のことです。とても生命力を感じられる仕立てです。

で、植替えの為に掘り進んでいったところ・・・枯れ込みの原因は根腐れでした。何でもここの土地は下の層に鋳物砂が埋め込んであるそうで、その上に植栽が施されていたので、その層に根が到達したために根腐れを起こしたようでした。(そんなの知り得ていないし、突然枯れてびっくりですが、家主さんはその土壌の事実を知っていたハズなので、なんとなく枯れた理由を理解していたのかもしれません。)いちおう、埋め戻しには客土を使いましたが、ギリギリの空間での植替えであった為に再度同じことが繰り返されないか少し心配です。ちょっと預かりの間の剪定が省略されていたようで、戻す前に緊急で剪定したらしく形が崩れているのが残念ですが、2・3年掛けて形を戻していこうと思います。

根腐れ
根上がり松

枝垂れ桜掘り取り

お客様によっては、お庭と違う場所にそのうち庭にいれようと思って育てながら保有している木を数本保持してみえる方がみえます。苗木の時に買ってきたりもらってきたりして、その時はとりあえず空き地に植えておくかといったように何気なく植えられて、その後正式に庭に入れるということをしないまま大きくなってしまったということは良くあることです。特に私たち庭師のように木の維持管理を生業にしていない人がこまめに保持木の手入れをして形を綺麗に保っておくということは時間的にも意欲的にも困難なことだと思います。そして、大きくなりすぎてしまって、庭に入れる場所が無くなってしまったり違う木を入れたくなったりして、その木を持て余してしまう結果となってしまうことも時としてあります。

今回もかなり立派に成長した木なのですが、庭に入れる前にご主人がお亡くなりになり移動させる人がいなくなってしまった為にもう切り倒すかと言っていたものを当方がもらい受けることにしました。結構に枝を張った枝垂れ桜です。持ち帰って改めて眺めますと結構幅があり、どこに入れようか思案しています。

3月・4月は植栽に適しています。

木々は常緑樹にせよ落葉樹にせよ、その多くは冬の間は休眠期といいまして、活動を休止しています。(冬に花をつける種類は除きます。)

そして、3月に入り気温が暖かくなってきますと活動を開始しはじめ、これから水を吸い上げる為に根を成長させます。成長のサイクルとしては「根の成長」⇒「新芽の芽吹き」⇒「光合成による養分の生成」⇒「各組織の成長」というサイクルになります。ですから、3月から4月にかけて移植を行いますと、根をすぐに張り始め活着の成功の確率が格段と上がる訳です。広く販売されている木々はおおよそ開花期に売られていますが、実は開花期というのは木にとって消耗する期であり、さらに花後は実をつけるものは実を付け、休眠へと入っていきます。この花期に移植を行うことは不可能ではありませんが、移植時に枝葉を落としておく必要があります。

話はかわりまして、私こう見えましても学生時代に機械体操をやっておりまして、そのサークル時代の先輩からこの度植栽のご依頼がありました。樹種が「サルスベリ」でしたので市場にはこの時期に出回ることはないので生産者の所に直接買い付けに行きました。おかげで、自分の好きなだけ圃場を見て回り好きな形の木を探すことができ結局は市場を通して買うよりもいい仕入れが出来ました。今般ネットでも木は変えるのですが、ネットで売られているものは庭師からみたら「う~ん」と唸ってしまうような形のものしか出ていません。まあ、運搬のこととか色々な理由があるのでしょう。庭師は1本でも運んで植えるのが仕事ですので、とことん形にこだわります。木を売ることが目的ではないので当然と言えば当然のことなんですけどね。

今回も、想像していたとおりにピッタリ建物と空間にジャストサイズで収まり、自分自身満足しています。

植栽区画現状

庭の改修工事が終わりました。

先代の父親様が作られたお庭でしたが、ご自分で作られたのか(庭師のアドバイスを受けながら)

石や植木は庭師が持ってきたのか、素材や配置はいい物が使われており、形式も正しく作りこまれていたお庭がありました。世代が変わり現ご主人はお庭にあまり興味がおありになられなかったようで、手入れが施されていなかった為に一昨年に剪定の手入れに入らせていただくようになった時には既に木も数本枯れ、芝やササ類が伸び広がってしまって飛び石なども隠れてしまっている状況となっていました。

植栽は2年間手入れをさせていただいたことにより、一通り落ち着いてきまして今年庭の一部を復元するべく改修工事を執り行わせていただきました。

基本的な形式は抑えられておりただ、どういう訳か完成されてはいなかったので、今回現状を踏まえた上で1区画まとめ上げさせていただきました。

飛び石を覆ってしまうまで侵入した芝生を剥がし、整地・防草対策の上砂利を入れ、区画を四ツ目垣と大津垣で明確に仕切り築山と路地の境界も石により境界を明確に入れました。施工前の写真は割愛いたしますが、キリリと引き締まった空間となりました。枯れて不足してしまった空間には新たに植栽を入れ、全体のバランスを整えました。

縁側に腰かけて枝垂れ梅を眺めていますと、
心が落ち着き時が経つのを忘れます。

だいぶ形が出来てきました。

先月末より入っていました改修工事が終盤を迎えました。

今日はとても形のいい枝垂れ梅を入れ、砂利も入りようやくサマになってきました。写真は竹垣が入る前の竹垣側からの眺めです。竹垣が出来てしまったら、もうこの方向からこの梅を眺めることはできません。

珍しく、正反対の方向との両方向から眺めてどちらもサマになる本当にいい形に仕立てあげられた枝垂れ梅です。自分の仕入れの目利きをちょっと自慢したくなりました。(もちろん生産者の方に感謝です。)あ、いちおう植えた後に調整の剪定は施しています。

いよいよ完成が楽しみです。

形の崩れてきたクロマツの剪定

年々、松の手入れが出来る職人は高齢化によって引退をしていく傾向が強く、また高齢の庭師は足腰が弱ってくる為に高い所や、姿勢が困難な門被りの松などになると敬遠する傾向があります。今回のケースも前任者が「もうやれない」と放棄したクロマツの剪定の役が回ってきました。

お話をいただき一見して・・・
代金単価が割りに合わなかったのか、もともとこういうやり方なのか、鋏でブツブツ枝を切る剪定のやりかたで、ずいぶんと形が崩れていました。また、切り位置が悪い為に枯れ込んでしまっている枝がとても多かったでした。

「とりあえず数年かけて形を修正する所からですね。」と現状をご説明し、初年度は最大限出来る処置をするしかありませんでした。

それでも、やるべきことをやれば少しは見栄えが回復するものです。最低3年は型どおりの剪定をするよりありませんね。

↑剪定前の現状

↑少しは見えるようになりました。

バタバタしています

一昨日は午前中に一軒松の直しの剪定を済ませ、午後より取り掛かり中の庭の小改修の部材仕入れに。

引き取った荷を下ろす間もなく昨日に平行して段取りを組んでいたお宅の移植工を済ませ、本日は積み荷の整理と段取りの修正。携帯電話(ガラ携)の機種変更に設定変更などなど、色々とバタバタしています。町内青年部の寄合もあったし。。

まあ、忙しいことはありがたいことです。

来月は少し自宅のアプローチがやりかけで放置なので触ろうと思っています。

庭の小改修工事

一昨年前よりお話をいただいておりながら、昨年度は動くことが出来なかったお客様の案件を今年は注力して(かなり気合を入れて)取り掛からせていただいています。

やや荒れかかっていて、飛び石を芝生に半ば覆い隠されつつあった状況の庭を(本来でしたら砂利が入っているハズなのですが・・・)整理にかかりました。

今後、通路両側に張られている芝が入りこまないように境界を設け防草シートを敷設した後に砂利を入れます。

完成が楽しみです。

久しぶりの投稿です。

冬は松の剪定を主におこなっています。
1月の中程よりとりかからせていただいていたお客様宅の剪定をようやく先週終えました。

大小あわせて松が11本あり、その他にも色々な木がありますので延べ16日間かかりました。

時間はかかりますが、圧巻の松がありますのでご紹介します。

 

冬の剪定の風物詩

冬の剪定になりますと松が多くなります。

その他の刈込ものの剪定の時もそうですが、

松の剪定ですと特にショウビタキがすぐ近くまできて落ちた毛虫などを狙って待機しています。

人間に対してあまり警戒心がないらしく、ほんの1m~1.5mの距離の所で止まってじっとこちらの様子をうかがっています。

なんだか、とても親近感がわいてきます。

孤独な剪定作業なのですが、一人でないような気持になります。