五葉松の剪定

松というと一般の人々はクロマツを想像すると思います。実際に大きな庭園などで立派に形作られた松と言えば大きく仕立てられたクロマツは雄大で見る人々に感動を与えることができます。

クロマツは葉の長さを短く密集させた作りにするには、意図的にかなり手を入れないとそのような形になりませんが、葉の長さが短く葉の密度もクロマツよりも濃い松に五葉松という松があります。成長の速さもクロマツより遅く家庭の庭で長きに渡り一箇所に鎮座している五葉松は太さの割りに丈がなくとても重厚な印象を与えてくれます。

さて、その五葉松ですが葉の密度がクロマツより濃いゆえに、この松を真剣に剪定を施しますとクロマツの倍位の時間がかかります。成長がゆっくりな為に毎年完全なる剪定を行わなくても大丈夫なのですが、2年に一度は正式な剪定を行った方が木の健康を保つにはいいでしょう。

今回剪定を行った五葉松ですが、昨年かなり簡略化した剪定にとどめたために今年その反動が来ました。剪定は省略するとかならず次年にそのツケが自分に返ってきます。改めて肝に銘じようと思います。

病害虫発生情報

今年は湿度が高いせいか、アブラムシが大量発生しています。
ウメ・モモ・サクラを始めカシノキ類に大量に発生する被害が確認されています。また、サツキ・ツツジにもち病が多く発生しています。
ご注意下さい。

アブラムシにはスミチオン乳剤他、マシン油乳剤(乳化液なら比較的どのような種類の液剤でも窒息死の効果が得られます。)

もち病にはダコニール1000乳剤などの薬剤散布が効果的です。

世間はG.W.ですね。

世間は今日よりG.W.に突入をしてFACEBOOKやTWITTERなど各SNSではなんとかG.W.を満喫しようという意気込みの投稿や、「どうせ変わらず仕事だし」みたいな諦めの投稿であふれかえっています。(笑)

そういう当方は、特に変わらない日常です。普段できていていない備品関係の整理や業務の段取り、道具のメンテナンスや問い合わせがあれば見積にだって出かけます。G.W.だからと言って長期の旅行などの計画は立てていません。個人事業主たるもの対応の速さが命だと思っています。

昨日のお客さま、海外赴任の為に8年程家を空けられているうちに伸びてしまった木々を今回整理しなおしました。思っていたよりは荒れていませんでした。
想像していたより軽い負荷でしたので、余裕でスッキリと業務を終えることができました。

時として仕事にせよ観光にせよ海外に行かれるようなお客様のお宅ですと、近隣ではない珍しいお菓子を出して下さることがあります。
今回、出していただいたお茶菓子が美味しくて後で調べてみましたら東京の南青山にあるお洒落なカフェで提供されているパイナップルケーキだということがわかりました。どうりでお洒落で手が込んでいるお菓子だと納得しました。こういう普段口にしないお菓子をいただいたりしますと、妙に嬉しくなってテンションが上がってしまいます。G.W.だからかもしれませんが。(笑)

皆様、G.W.は気分が浮かれがちですが安全等には十分に気をつけてそれぞれの連休をお楽しみください。

桜の力

今日も桜の力を感じる出来事がありました。

昨年までなかなか咲かなかった桜が、今年になって満開に咲き誇ったお客様のお宅がありました。先日の嵐にてほぼ散ってしまった為に本日剪定を行いました。

お客様宅の2軒お隣の夫婦が散歩で前を通り、「この木は何ですか?」と桜の隣に植えられている剪定中の木のことを尋ねてきました。私は「モクレンです。」と答えました。このモクレンも毎年咲かずに、今年も昨年の剪定が遅かったせいか残念ながら咲きませんでした。私は続けて「このモクレンはまだ、咲かせる為の調整の過程で来年か再来年には咲くと思います。」と言いました。

ご近所さんは。「紫ですか?白ですか?モクレンも咲くと綺麗ですね。楽しみにしています。」と。

やっぱり桜が咲くと、通りすがりの人は絶対見ていることを改めて認識しました。
そして、口にこそ出さないものも心の中で「おおー綺麗に咲いた」と思って必ずと言っていいほど次の年も咲くことを楽しみにしています。そして、桜にとどまらず、同じ所に植えられている木についても興味が沸き、どんな花が咲くのか興味を持ったりされるのでした。日本人の心と桜はきっと深い所で結びついているのだと思います。

3年越しの開花

庭木は枝振りや葉が風にそよぐ姿を眺めるのも一興ですが、やっぱり花をつける木は花が咲いてこその木ですし、それを楽しみに庭にいれているものです。特に春はあちらこちらで梅に始まりサンシュユ・モクレン・サクラにハナモモと次々に綺麗な花が開花して私たちを楽しませてくれます。

時として花を楽しみにして庭に入れた木の花が咲かないと相談を受けることがあります。このケースでも大きさは十分な山桜が咲かずにいるということで、3年程前から開花に向けた改善処置を施してきました。花は条件さえ整えば必然的に咲くものです。咲かないということは何か良くない状態に陥っている訳ですのでひとつづつその条件を改善していけば、必ず花は咲きます。自然はまったくもって必然です。満開に咲き誇り嬉しい限りです。この時期は毎年ですが庭師をやっていて良かったと思う時であります。

根上り松の剪定

昨日植栽した根上り松ですが、しばらく手入れがされていなかった為に形が崩れてしまっている為に、これから形を回復する為に本日剪定を施しました。作り直しの為にほとんどの枝を一旦落とすことになり、スケスケになりました。基本的な形を戻すのに3年はかかりそうです。

根上り松の移植

お客様宅の五葉松が原因不明で枯れ込んでしまった為に、そのお客様が私が入る前の庭師さんに預けていた「根上がり松」を枯れてしまった五葉松の代わりに戻すことになりました。ここで、「根上がり松」をご存じない人の為に簡単に説明しますと、生育過程で根の周りを特別に覆って堆く高く土を盛っておいて、根が下に張るにしたがってすこしずつ盛土を解いて根元を露わにし、まるで根が木を持ち上げているように仕立て上げられた松のことです。とても生命力を感じられる仕立てです。

で、植替えの為に掘り進んでいったところ・・・枯れ込みの原因は根腐れでした。何でもここの土地は下の層に鋳物砂が埋め込んであるそうで、その上に植栽が施されていたので、その層に根が到達したために根腐れを起こしたようでした。(そんなの知り得ていないし、突然枯れてびっくりですが、家主さんはその土壌の事実を知っていたハズなので、なんとなく枯れた理由を理解していたのかもしれません。)いちおう、埋め戻しには客土を使いましたが、ギリギリの空間での植替えであった為に再度同じことが繰り返されないか少し心配です。ちょっと預かりの間の剪定が省略されていたようで、戻す前に緊急で剪定したらしく形が崩れているのが残念ですが、2・3年掛けて形を戻していこうと思います。

根腐れ
根上がり松

枝垂れ桜掘り取り

お客様によっては、お庭と違う場所にそのうち庭にいれようと思って育てながら保有している木を数本保持してみえる方がみえます。苗木の時に買ってきたりもらってきたりして、その時はとりあえず空き地に植えておくかといったように何気なく植えられて、その後正式に庭に入れるということをしないまま大きくなってしまったということは良くあることです。特に私たち庭師のように木の維持管理を生業にしていない人がこまめに保持木の手入れをして形を綺麗に保っておくということは時間的にも意欲的にも困難なことだと思います。そして、大きくなりすぎてしまって、庭に入れる場所が無くなってしまったり違う木を入れたくなったりして、その木を持て余してしまう結果となってしまうことも時としてあります。

今回もかなり立派に成長した木なのですが、庭に入れる前にご主人がお亡くなりになり移動させる人がいなくなってしまった為にもう切り倒すかと言っていたものを当方がもらい受けることにしました。結構に枝を張った枝垂れ桜です。持ち帰って改めて眺めますと結構幅があり、どこに入れようか思案しています。

3月・4月は植栽に適しています。

木々は常緑樹にせよ落葉樹にせよ、その多くは冬の間は休眠期といいまして、活動を休止しています。(冬に花をつける種類は除きます。)

そして、3月に入り気温が暖かくなってきますと活動を開始しはじめ、これから水を吸い上げる為に根を成長させます。成長のサイクルとしては「根の成長」⇒「新芽の芽吹き」⇒「光合成による養分の生成」⇒「各組織の成長」というサイクルになります。ですから、3月から4月にかけて移植を行いますと、根をすぐに張り始め活着の成功の確率が格段と上がる訳です。広く販売されている木々はおおよそ開花期に売られていますが、実は開花期というのは木にとって消耗する期であり、さらに花後は実をつけるものは実を付け、休眠へと入っていきます。この花期に移植を行うことは不可能ではありませんが、移植時に枝葉を落としておく必要があります。

話はかわりまして、私こう見えましても学生時代に機械体操をやっておりまして、そのサークル時代の先輩からこの度植栽のご依頼がありました。樹種が「サルスベリ」でしたので市場にはこの時期に出回ることはないので生産者の所に直接買い付けに行きました。おかげで、自分の好きなだけ圃場を見て回り好きな形の木を探すことができ結局は市場を通して買うよりもいい仕入れが出来ました。今般ネットでも木は変えるのですが、ネットで売られているものは庭師からみたら「う~ん」と唸ってしまうような形のものしか出ていません。まあ、運搬のこととか色々な理由があるのでしょう。庭師は1本でも運んで植えるのが仕事ですので、とことん形にこだわります。木を売ることが目的ではないので当然と言えば当然のことなんですけどね。

今回も、想像していたとおりにピッタリ建物と空間にジャストサイズで収まり、自分自身満足しています。

植栽区画現状

庭の改修工事が終わりました。

先代の父親様が作られたお庭でしたが、ご自分で作られたのか(庭師のアドバイスを受けながら)

石や植木は庭師が持ってきたのか、素材や配置はいい物が使われており、形式も正しく作りこまれていたお庭がありました。世代が変わり現ご主人はお庭にあまり興味がおありになられなかったようで、手入れが施されていなかった為に一昨年に剪定の手入れに入らせていただくようになった時には既に木も数本枯れ、芝やササ類が伸び広がってしまって飛び石なども隠れてしまっている状況となっていました。

植栽は2年間手入れをさせていただいたことにより、一通り落ち着いてきまして今年庭の一部を復元するべく改修工事を執り行わせていただきました。

基本的な形式は抑えられておりただ、どういう訳か完成されてはいなかったので、今回現状を踏まえた上で1区画まとめ上げさせていただきました。

飛び石を覆ってしまうまで侵入した芝生を剥がし、整地・防草対策の上砂利を入れ、区画を四ツ目垣と大津垣で明確に仕切り築山と路地の境界も石により境界を明確に入れました。施工前の写真は割愛いたしますが、キリリと引き締まった空間となりました。枯れて不足してしまった空間には新たに植栽を入れ、全体のバランスを整えました。

縁側に腰かけて枝垂れ梅を眺めていますと、
心が落ち着き時が経つのを忘れます。