アーボリストの祭典(Jugoshi Arborist Challenge2024)

11月9日・10日、名古屋市名城公園内の一角にてJAC(jugoshi arborist challenge)というイベントが開催されていまして、そちらを観覧してきました。

日本におけるArbolist第1人者であるJhon Gathright氏のもとATI(Arbolist Training Institute)で学んだ同士達が集い日頃業務でツリークライミング技術を使っている人も使っていない人も合わさって技術研鑽を積むという意味合いの強い競技会となりました。競技種目は①スローライン、②ツリークライミング、③ロードトランスファー、④レスキューの4種目で、それぞれのチームが自分達の技術向上をしたい種目に参加しているようでした。

簡単にですが、各種目の説明をしたいと思います。
①スローライン
φ1.4mm~2.2mm程のナイロン製ラインの先に鉛玉の入ったパック(ウェイト)を付けてアンカーを取りたい枝を狙って投げかけます。ラインが目的の場所に掛かったら、このラインを用いて各種ギアを取り付けたり、ロープを通したりします。競技ではどれだけ正確に早く狙った場所を狙えるかを競います。

②ツリークライミング
上述のスローラインを掛けてアンカーギアとロープを掛けクライミングのセッティングをする所から、クライミングをして模擬的なリギング(ハンドソーによる)と切り落とした枝を狙った場所に投げ落とす技術、リギング用ブロックとロープ・制動器を用いた重量のある枝の吊るし切りを行うまでのクライミングと移動のテクニック、リギングを行うまでの手順と安全確保の配慮など一連の動作の確認を行います。

③ロードトランスファー
重量のある切り出しを行った枝葉を自然落下箇所ではなく少し離れた箇所へ降下させる為に切り出し時に掛けたリギングアンカーから別の箇所に取ったリギングアンカーへと荷重を移しながら移動させる技術。チームの各グラウンドワーカーの息の合った操作が試されます。

④レスキュー
樹上に上がったクライマーが負傷して自力で動けなくなってしまった状態を想定して、他社が協力して負傷者を安全に地上にまで下ろす操作を考える技術。負傷して樹上にて吊り上がっている、もしくは枝に掛かっている、ロープがどのように通っているなど、時として変化するであろう状況をどのように判断してレスキューする手順を考えるかを訓練します。

上記のような内容を制限時間を設け、どれだけ正確に間違うことなく行えるかを試行して競い合いました。実際は競技という程殺伐としたものではなく、同士達が1年に1回集まって少しお祭騒ぎを楽しんで、乗じて新しい技術や考え方を習得するという祭典のような雰囲気で進んでいました。大会運営に関わった全てのクライマー・トレーナー・スポンサー・オーディエンスとそのご家族の皆様のお陰で楽しい一時を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

ちょっとした林の木の整理

今週からちょっとした小高い丘の林より外周道路や家屋の上にせり出している木の枝打ちや伐採の業務に取り掛かっています。元々は義父が依頼を受けた案件なのですが、義父が高齢によりもう高い木に登ることは避けたいし、ちょっと量が多くてやりきれないということもあるのか(真相は本人しか分かりませんが)私のところに直接話をしてやってくれということで話があり受けることにしました。

依頼主さんは、同じ町内の人なので私も知っている人なので、依頼が義父から婿に渡ったことも、そういうこともあるかと理解していただいていると思いますが、まあちょっと量があり自分も一人でやるには結構骨が折れる現場であることには間違いありません。かと言って断る理由は何もなく、自分を試す上でもちょっと負荷の高い業務もどんどん取り組んで行こうと思っています。

こういう業務は何が一番大変かと言えば、何せ木が大きいとスケール間がバグってそれ程大きくないつもりでも切り落として地上に降りるとものすごく大きく重く、片付けるのにものすごく労力を使うという点です。細かくバラさないと搬送もできませんし、バラしに時間を使っていると、すぐお客さんからクレームが入ります。(かといって、切り落とす時に細かく切り落としていると、それはそれでクレームが入るんですよね。お客さんは大きく落とすことの技術的難易度と危険性について理解が薄いので苦労します。)まあ、お客さんがどう言うかは置いて置いて、一番は自分の安全を確保することと、道路に落とすことになった時の通行者の安全性を確保する事ですので、着実に業務をこなしていこうと思います。

素晴らしく美しく大きなケヤキの木の剪定

いつ頃植えられたかはっきりとしませんが、恐らく100年以上前に植えられた、それはそれは美しく大きく成長したケヤキの木の剪定のご依頼がありました。

場所的にクレーンや高所作業車が入らない環境であることと、枝張りの半分は建物の上方である為にロープワークを用いた枝下ろし作業にて行うことになりました。

当方も駆け出しのツリークライマーではありますが、今回は大きな枝の吊るし切り+離れた場所への枝下ろしを伴うチームワークが必要となる事により、より技能の高いクライマーさんにお願いをしてより確実で安全な方法を取ることにし、当方はグランドワーカーとして枝下ろし補助+搬出係として業務にあたらせていただきました。

落とす枝の選択のみ当方に決めさせていただいて、切除枝が決まればそれを切除する為の登降アンカーポイントの設置、吊るしポイントの設置、吊るし下ろしルートと方式の選択とセッティング等はクライマーの判断に任せ、あとはそれぞれの担当がそれぞれの操作を担当したチームワークにて無事に業務を行わせていただきました。あと半分程度業務が残っていますが、最後まで安全第一にて作業を行いたいと思います。

枯れたケヤキの伐採

ケヤキの大木を数年前に隣地側にせり出た枝を剪定したことにより枯れたようです。

良く見ますと断幹を分岐元ではなく、中途半端な位置で切断していることにより枯れ込んだ木のようです。

せり出し部分のみを切断したことにより大きくバランスが崩れて、もし台風で倒木した場合に建屋側に倒木する危険性もあり、伐採することにされたようです。

枯れが進んでいることで枝に荷重を掛けられるか心配でしたが、さすがはケヤキ、完全に枯れ込んでいても芯まで固く、逆に乾燥した材は丈夫でしなることもなくしっかりとしていました。また、荷重の受け止めにも十分に耐えるしっかりとした材となっていました。

伐倒の方向と反対側の枝を登りこみ作業にて落とし、それでも伐倒にはバランスが微妙な重心でしたので、伐倒側から引っ張り強制的に伐倒方向に保険を掛けることにしました。

通常ですと、伐倒側の任意の木にアンカーをとって引っ張るのですが、辺り一面ずっと畑で何もなく、しかたなくフレコンバックに土を詰めてそれをアンカーの代わりにしてロープを掛け引っ張ることにしました。20mを超える木でしたが何も遮るものがなく安心して倒せましたが、やはりかなり引っ張らないと反対側に倒れた可能性のある危険な作業でした、

風の強い環境で不安もありましたが、事故なく終えることができてホっとしています。

ご依頼主様が三河一刀彫という彫刻をされている方でしたので、幹元の方の太い部分を6m程彫刻の材料として残し納めさせていただきました。

色々と芸術のお話しを聞かせていただきまして勉強になりました。ありがとうございました。

アンカーポイントの検討
伐倒と反対側の枝下ろし
さらに太い枝を落とし
狙い通り
株元径70cm
良い材料が出ました

ケヤキは薪ストーブユーザーさんの所へ

秋空

本日は雲の少ない澄んだ青空が印象的な一日でした。

畑の脇の大きなクロガネモチ。夏場は作業の途中で休憩するのに適した日陰を作り出して重宝するのですが、秋から冬にかけては逆に暖かな陽光を通す為にも透かしておきたいものです。

角地にあった4本のうち3本は貸借している人が既に切ってしまっていましたが、ちょっと(だいぶ)無骨な切り方で見るも無残・・・・地主さまも「せっかく大きくなったのに、ちょっと切り過ぎじゃないかなあ」と残念がっておられました。おそらく、そのこともあり最後に残った1本は当方にご依頼があったのだと思います。

本日は風も少なく樹上での作業は大変に心地よく、清々しい気持ちで務めさせていただきました。ありがとうございました。